【コラム】組織図の作り方 第十一回
先日(2010年6月14日)サッカーワールドカップ1次予選で日本がカメルーンに1-0で勝利しました。岡田監督は試合後のインタビューで「チーム一丸となって」を強調していました。「個」のカメルーンに対して「組織」で臨んだ結果勝利をもたらした形です。今までの強化試合で色々なフォーメーションを試し、選手の入れ替えも数多く行ってきた中で試行錯誤を重ねながら最終的な戦略を立て最適な組織(チーム)で臨んだのです。
組織は戦略ありきであり、組織構造は目的=勝利を達成する為の「手段」ですので、まずは目的を強く意識し、それに対して戦略を作らなければなりません。目的を忘れてしまうと、理想主義や万能モデルを追い求めすぎ真の組織=目的を達成するための手段から遠ざかってしまいます。岡田監督は優勝ではなくベスト4という目標を掲げたが、目標設定数値としては理想的ではなく現実的ではないでしょうか。
中華系の候補者と話をしていると、転職理由に「ファミリービジネス」を挙げられる方が多くいます。聞くと急に社外にいた社長の義理の兄が実権を握ったり、今まであった部署が大幅に変わりそこの部門長に経営陣の親戚が来たりするので、組織に嫌気が差して転職動機につながっています。勿論実力者がその組織の中のポジションを締めるのであれば良いのですが、単に「ファミリーの利益の為」であり、目的を達成する為の手段からかけ離れていけば、理想主義的な組織に陥り、有能な社員が去り、やがて組織が衰退してくことでしょう。一代でビジネスが終わってしまう会社も少なくありません。
さて、「事業部別組織」をとっていた飲食業Y社でも売上中心の事業部制をサポートする間接部門の重要性に気付き始め、弊社には人事戦略を作れる人材のサーチを求めてきました。進出時は物珍しさもあり顧客を掴んでいましたが、最近は同じような商品群(飲食のカテゴリー)で競合が進出しており、実務部隊をサポートする強い管理部門の構築を模索し始めました。
このように競争の脅威に晒された場合、市場の急激な変化や顧客のニーズにいち早く対応することと、これをサポートする間接部門の組織力をアップし、実務部門をしっかりと支える必要性が出てきています。つまり実務部隊は「事業部別組織」で間接部門は「機能別組織」をそれぞれ適用する形で2つの組織構造を1つの企業体の中で共存させ強い組織=競争に勝ち抜く為の組織を作り、目的=企業としての利益確保を果たすことです。
このような組織構造の役割分担を考える際にマーケティングの神様と言われているマイケル・E・ポーターのバリューチェーンモデルに当てはめると分かりやすいでしょう。(図参考)
企業組織の主たる機能を事業部別組織の中に取り込み、支援活動、管理部門全般、経営管理に当たるサポーティング機能を機能別組織として編成し、それに適した人を採用し組織メンバーを固めていきます。こうすることにより、事業部別組織と機能部別組織のそれぞれの利点を1つの企業組織体の中でうまく融合し、シンプルではあるが、より一層強い組織体を作ることができるでしょう。次号も引き続き組織について述べていくこととします。
NNA 人「財」羅針盤 第70回(2010年6月17日)より抜粋


