【コラム】組織図の作り方 第九回


前回の文中で触れたITサービス業のM社長から連絡があり、組織図を再度変更した結果、ようやく既存社員と新入社員の融合が進み、胸を撫で下ろしたとのことでした。何をしたのかを聞いたところ、既存社員と新入社員のポジションを全く同じものとし、組織図上には指揮命令系統を二人の間に付けず、M社長を直属の上司として、部下に共通のコーディネーターを付けたとのことでした。いずれにしても、先輩=後輩の関係は残っているものの、職務上は落ち着きを取り戻したとのことでした。しかし、仲良くしている掃除のおばちゃんと既存社員がマンダリン(中国語の普通語)で、どうやら服が臭いだのと悪口を言っていたようで、「どうしてそのようないじめ的な態度を取るのか理解できない」と消化不良的に結んでおりました。M社長の話を聞いた時に、小学校の時に地方から転校してきた女の子が最初は「異端児扱い」され皆が敬遠していたようなことを思い出しました。とにかくこの会社の組織は当面は「機能別組織」で社長が皆の上に立ち下部層に仕事の指示をしていく形となりました。

 このように「組織図」1枚で様々なドラマが生まれ、納得がいかないと社員間同志の摩擦、ひどいことになると辞職にもつながりかねないのです。弊社に来られるローカルの求職者の話を聞くと、やはり人事異動や組織改変で、自分より能力の低い或いは社歴の浅いスタッフが上に来たりすることにより、辞職理由がChange Environment=環境の変化となるようです。つまりあまり深くは追求しないが、組織に嫌気が差しての転職であろうと思われます。

 さて、引き続きY 社の「事業部別組織」を見てみましょう。(図参照)扱う商品=飲食の種類で仕分けし、それぞれに事業の責任を与えることにより、より柔軟にかつハイスピードで市場に対応していくことが可能になったのです。本部主導型では指示待ちになりがちになり、市場の変化のスピードには対応できなくなってくるのです。短期的には問題がないように見えますが、それぞれの事業部にビジネスの最適性を求める為、Y社全体での損益の観点から意思決定を行ったり、業務を執行することが段々と難しくなってきます。その結果、「おらが城」的な牙城ができ、事業部間の連携やシナジー(相互)効果の実現が逆に難しくなってきます。日本食レストラン事業部の人間が、喫茶店ビジネスがあたかも「別の会社」のことのように感じてしまい場合によっては、事業部内の内部の「健全な競争」が事業部の社内的な位置付けが発生し、事業部内の従業員に「勝ち組」と「負け組」の心理的な優劣ができ、足を引っ張りあうような事業部内の社員間同士の軋轢が起こる可能性があります。

 結局のところ、事業部別組織は、顧客の特性や商売のカテゴリーが異なる複数の事業を効率的に運営していくのに適した組織です。各事業部内で一連の事業部としての機能が完結することから、市場環境や顧客の嗜好の変化(Y社の場合はメニューや価格帯)に素早く対応できます。Y社のように複数の事業部=レストランを持つ企業体には、適した組織形態です。次号も引き続き組織について述べていくこととします。

NNA 人「財」羅針盤 第68回(2010年5月27日)より抜粋

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