【コラム】組織図の作り方 第五回


K社の人員採用計画に基づいての採用活動では、5人の枠がほぼ埋まり、6月の開店までに何とか全員揃いました。日本とシンガポールを往復しながらの組織固めでしたので、弊社としてはなるべく効率の良い採用活動を行えるよう支援し、ホテルでのロビーでの面接のため、場所の手配もお手伝いしました。

さて、人員計画を立てる際に初期段階で組み立てる代表的な組織モデルが「機能別組織」です。機能別組織の第1の特徴は、それぞれの部門が担う仕事内容が細分化・専門化されていることです。各部門の役割が企業の業務全体の一部に限られていると、その役割=担当業務に対しての知識や経験が蓄積されやすくなります。K社の場合、3つの機能に組織を細分化し、それぞれ主な役割を与えています。その中で各役割を担うことができる人材を採用します。管理部門には営業経験者より、中規模の会社でマルチタスクをこなす「日系向き」な企業文化を理解している人が向いているし、入社後の仕事満足度も高いはずです。つまり各機能にあった「適材適所」かどうかを見極めることが肝要なのです。 

第2の特徴としては、従業員を個別業務の専門家とすることで、一定範囲の仕事に集中できる環境を整えることです。ただこの場合、他の機能=部門に関しては知識も情報も持たない場合が多く、分野をまたがった意思決定を行うことは難しくなります。K社の場合は、初期の段階では「全員プレー」を目指す方針ですが、従業員は各自の守備範囲の中で仕事をする傾向が強いことから、この温度差をどう埋めていくかが肝心となります。

第3の特徴は、意思決定権限者のレポーティング・ラインが直属上司であることで、分野をまたがった意思決定が難しいため、権限は上位の管理職に集中することになります。K社ではMDのみであるため、5人に意思決定の権限が与えられていない場合は、MD判断となります。中小企業で見受けられる傾向は、意思決定者が不在であると、業務が進まないことが挙げられます。権限がないため、何か起こった時の責任を負いたくないという防衛本能が働いてしまうのです。従って、上位管理者が適切な意思決定を行うためのコミュニケーションの内容と頻度が重要になってきます。近年、MDの方々はシンガポールだけでなく周辺諸国も管轄されていることが多く、意思伝達、決定事項の整理は特に大切になっています。機能別組織は、会社を運営していく部隊を作る上では効率的です。それぞれの部門が役割を十分に担うことで仕事の生産性は上がり、会社の業績につながることになるのです。

次回も引き続き組織について述べていきます。

 

NNA 人「財」羅針盤 第64回(2010年4月29日)より抜粋

 

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