【コラム】就業規則について 第十一回


最近のベネフィット調査によると、約8割近い会社がなにかしらの医療制度を導入しており、社員の福利厚生の一環としています。現地採用の日本人女性の方々とお話をする機会が多いのですが、就職希望先の条件の中に「医療制度が充実しているところ」というのが確実に入っており、例えお給料が若干低めでも、安心して仕事・生活をしたいという希望があることが良くわかります。

日本人は言葉の問題もあり、病気や怪我の場合は日本の医療機関で診てもらいたいと思うものですし、当地で日系のクリニックにかかると費用がかさむのも事実です。特に女性は年齢を重ねるにつれ婦人科関係の病気への不安が増すようで、この点でのセーフティーネットは企業側としても用意する必要があります。

会社により様々な医療制度を設けており、もちろん駐在員とその家族は日本で海外旅行障害保険にはいり、基本的には医療費が全額カバーされる保険に入っています。保険会社の方から聞いた話ですが、海外旅行傷害保険に加入されているご家族は、少し具合が悪い場合でも日本語の通じるクリニックに気軽に行くことができるので、保険会社の負担も馬鹿にならないとぼやいていらっしゃいました。「保険会社によっては今後安価な海外旅行傷害保険は廃止にするところも出てくるだろう」ともお話されていました。

日本人現地採用社員の場合は、国籍は日本でも、採用条件はシンガポール人と変わらないので、保険についても現地の就業規則に準ずるところが多いのが現実です。しかし約3割ほどの日系企業は「日本人」従業員のベネフィットの一環として海外旅行障害保険に加入しています。但し、「試用期間(大抵3ヶ月)が終了した時点で加入する」・「加入期間中退社した場合は残りの期間は社員負担」等、いくつかの制約があります。

または現地の医療保険に入る場合もあります。この場合は海外旅行障害保険のコストに比べれば安いのですが、クリニックはパネル・ドクターという指定された街医者に行かなくてはならず、また当然日本語のできる医師はいないので、言葉に心配のある方には医療機関に行くことがプレッシャーにもなりかねません。 

医療保険とは別に、入院保険に加入しているところは多いようです。労災保険プラスアルファのセットで入る場合が多く、これは社員が万が一入院するようなことになった場合、病室のレベルにより入院費をカバーする保険です。この場合「通院」は含まれないので、別途設定しています。よく見かけるのは、年間S$500~S$1000までの制限を設け、実費請求できる場合です。

弊社でもこの制度を取っていたことがありますが、漢方医に行ったり鍼治療に行ったり本当に「治療」なのか?と首を傾げる請求もあり、やはりある一定の基準は設けた方が良いのでしょう。ある企業では整形外科費を堂々と請求され、社長ががっかりされたケースもありました。そのような「濫用」を防ぐために、企業によっては年間の上限S$600、月間上限S$100と設定しているところもあります。繰り返しになりますが、制度設定は会社の規模にあった労使双方が満足したものを作る必要があるのです。 

次回は退職に関する諸制度について述べていきます。

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