【コラム】就業規則について 第十回
「手当」はベーシック・サラリーに加えて付加されるもので、シンガポールで比較的多いのは「通勤手当」です。また弊社の日系企業顧客の一部では「語学手当」、つまり職務上使う「日本語」に対して、基本給の他に50Sドルを支給している企業もあります。日本語を話す社員としては特殊能力を手当=金銭という形で認めてもらえるので、職務に対するモチベーションは高くなります。このほか、製造業では技術手当があり、例えば石油プラント内で仕事ができる特殊技能を持っている社員等に支払われます。このように他の社員にないスキルに対して支給されるのが「資格手当」です。
さて、手当は金銭面で付与されるものですが、その他の福利厚生も、社員をいかに会社が大切にしているかを図る尺度となり、様々な種類があります。その代表的なものとしては、社員旅行です。そもそも国が小さいシンガポールでは皆外国に出たがっており、それが会社の負担でしかも会社の営業日に行けるということで社員にとっては大きなベネフィットになります。某日系企業でも、毎年、台湾やタイなど近隣諸国に3泊4日程度のカンパニートリップを行っていて、毎年その企画になると総務が燃えると社長がお話されていました。個人主義的なところもあるかと思いきや、意外と皆が楽しみにしているようです。最近の企業業績の悪化によりコストを抑えなければならない状況下にもかかわらず、「毎年行っているから」と既得権を社長に進言し、無理矢理オーストラリアのゴールドコーストに決まってしまったケースもあります 。
その他には、食事会やクリスマスパーティーなどの宴会があり、毎月一度の食事会を行っている企業もあります。ただし、ディナーは各自予定があるので社員はランチタイムでの食事会を期待しているようです。企業としても少ない経費で社員の満足感を充足させると同時に、社員の結束を促すことができ、いい面が多いと言えます。
また社員の自己啓発を促す福利厚生の一環として、教育費補助があります。これは会社が認めたコースに社員が申請し、コースの修了証を持ってきた際に会社がある程度の上限を設け教育費を補助する制度です。日系企業で多いのは、日本語学校に通うケースで、週1回のコースに参加しスキルアップしようとするものです。会社としては、獲得したスキルを将来の会社の生産性アップの為に使ってもらいたい希望があるのですが、傷病休暇と一緒で「使わないと損」的な発想がある場合もあり、制度自体があまり機能していないのも実情ではあります。
また、健康面をサポートする名目で、年間300ドル程度までを上限にジムの費用を負担しているところもあり、女性の多い職場に目立つ福利厚生面です。男性社員の場合、仕事が終わってジムで一人汗を流すというのはあまり想定できません。一方、欧米人は昼間からランニング・マシンの上で走っているのを見かけたりします。福利厚生の設定も社員にとって何が「お得」なのかを考え設定する必要があるのです。
次回は福利厚生の中でも重要な医療保険負担について述べていきます。

