【コラム】就業規則について 第九回


前回は残業手当を除き「手当て」の中で一番支給されている「通勤手当」について述べました。シンガポールは「手当」が一切なく全て給料「込み込み」というところも少なくありません。その場合基本給が若干高い場合が多いのでボーナスの算定額に影響がありますが、基本給+諸手当にしておけば、ボーナスは基本給をベースに算出するのでボーナス時の経営側の出費が若干抑えられるという利点があります。 

その他の手当としては、「住宅手当」が日本人ならまず思いつきますが、シンガポールでの現地採用の方にはほとんどありません。シンガポール人の持ち家比率は約9割で国民のほとんどが公営住宅(HDBフラット)に住んでいることから、「住宅手当」という概念がそもそもないようです。しかしながら日本人を現地採用で獲得する場合、昨今の賃貸料の高騰により生活維持が困難になるということを考慮し、基本給とは別に300~800Sドルの手当を支給をしているところもあります。語学学校や飲食業等の場合は、もともと基本給を安く設定していることから、会社が住宅を借り上げ、格安の値段で提供している場合もあります。いわゆる「社員寮」的なベネフィットです。

営業職の場合、「携帯電話手当」が支給される場合が多く見られます。請求書を全額支払うところもあれば、使用量に関わらず、月額120Sドルといったように一定額を支給しているところもあります。シンガポールの携帯電話料金は比較的安い為、個人への負担はそれほどではありませんが、支給している企業は意外と多いようです。営業で使用することが前提ですので、営業成績が出ていない場合は会社に残る通信記録(通話時間)を示して「全然電話してないじゃないか」と注意できる場合もあります。 

日系企業で多いのは、永年勤続手当です。やはり年功序列の名残なのか、長く働いた方=貢献した方という美徳感は残っており、栄誉を称えつつ「手当」を会社から支給されるケースがあります。一般的には、「勤続3年以上500Sドル」「5年700Sドル」「7年1000Sドル」「10年1500Sドル」といった具合で「金一封」的な意味合いが含まれています。勿論、日系企業の一番気にするところは「長く働いて欲しい」という部分ですので、効果があるかないかは別として、ローカルスタッフに「3年頑張れば・・・」という気持ちになってもらえば企業にとってもメリットとなり得ます。 

またこの手当のショート版「皆勤手当」も時折耳にします。ホワイトカラー層ではなく、ブルーカラー層を対象にした手当で、1ヶ月100Sドル程度支給する場合があります。MC(Medical Certificateの略で、医師の診断書のこと)と呼ばれる傷病休暇(もしくは病気休暇=Sick Leave)を使わず普通に出勤してもらえれば、会社にとっても医療費を実費で支給している場合は費用を抑えることができ、また生産性を落とさずに済みますので双方に利点があると言えます。 

あとは少数ではあるものの、家族手当、教育手当、資格(語学)手当、食事手当等があります。手当の設定も会社・社員双方のメリットを考慮し、制限を入れ、運用面で問題が出ないようにすることが肝要です。 

次号はその他福利厚生の設定について述べていきます。

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