【コラム】就業規則について 第八回
前回までは休日・祝日、有給休暇、マタニティーリーブ等、従業員の休暇関連を述べてきました。米国に端を発した世界的な経済不況の中でも求職者はより良い条件を求めて就職活動をしており、特に年間の家族の行事や、配偶者の誕生日などプライベートな休みを取るために有給休暇日数は気にするようです。
先ごろ求人のご依頼を頂いた企業は、市内の中心部のMRT(地下鉄)駅近くの高層ビルにあり、オフィスも移転したばかりでとても綺麗な内装なのですが、有給休暇日数が7日ということで、最終的に内定を出した段階で「お断り」されるケースが多いと聞きました。同社設立時にはローカルスタッフがブルーカラー層ばかりで、雇用法で設定されている最低有給休暇日数(7日)を就業規則におり込めばよかったのですが、会社がホワイトカラーを採用していくようなるにつれ、マーケットにあった労働条件に合致しなくなってきてしまったようです。より良い人材を獲得するためには市場に即した適正なスタッフベネフィットが必要です。
さて、休暇関連は雇用法にも書いてあることで就業規則の中に織り込む事項です。特に織り込む事項ではありませんが、スタッフベネフィットの一環として色々なアローアンス(手当)を設定している場合があります。一番代表的なものとして、「通勤手当」があります。この手当の設定の仕方にも色々あり、月額100ドルといったように定額制の場合や、実費×営業日数(20日と設定しているところが多い)や、郊外の工場勤務の場合は送迎車を手配するなど企業の形態によりまちまちです。
ある日系企業では、EZリンク・カード(公共交通機関で利用できる非接触ICカード)を支給し、残高がなくなったら社員が課金し、その領収書を会社に請求できるようにしたところ、家族に貸したり、コンビニでジュースを買ったりして普段の通勤費支給の2,3倍になっていたということが発覚し、当該社員を懲戒解雇せざるを得なくなってしまいました。善意で作った制度も悪用されては元も子もありません。基本的には社員がEZリンクカードを使おうとも、正規の運賃(EZリンク・カードを利用すると若干割引運賃になります)の往復分を1日の通勤費とし、営業日数分を「通勤手当」として支給すれば社員は気持ちよく通勤できます。MRTの運賃はSMRTのウェブサイトhttp://www.smrt.com.sg/trains/fares.aspから簡単に検索できます。
営業系であればカーアローアンス(車手当て)があります。この手当の意味合いは、自家用車を営業車で使う場合の保険、税金、メンテ等の維持費用分で、平均すると約700ドルほどになります。実際に使うガソリン代、駐車場代、ERP代(自動料金徴収システム)は別途実費で支給するところが多く見られます。基本給は低くてもカーアローアンスが高くまた家族での使用も認められている場合、大きなベネフィットとみなし採用に至るケースも少なくありません。
通勤手当については支給してない企業が3割ほどあります。公共交通機関が比較的安いのでこの点は給料が高ければあまり問題にならないのは事実ではありますが、もしあれば従業員にとっては「嬉しい」手当になるのです。
次回も引き続き「手当」について述べていきます。

